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「陣屋」とは、神奈川県秦野市鶴巻にある元湯温泉の旅館です。
丹沢山麓にあたる当地は、昔から沢山の湧水に恵まれ温泉が湧いており、三井財閥が大正7年に御寮(別荘)「平塚園」を建てたのが、「陣屋」の起源です。
当時、平塚や大磯には有名な政治家の別荘が数多くあって、政治の舞台裏として活発に利用されていました。
そのような土地柄であるためか、三井財閥は、温泉の湧く「平塚の奥座敷」(鶴巻─和田義盛公別邸の跡地)に、大切なお客様を接待する為に別荘を建てたのです。
平塚には海軍の火薬廠もあり、海軍の将校達が馬車で来館してくるという習慣が、大正の初めから終戦まで続きました。旅館としての営業は大正の終わり頃からしていましたが、戦時中には軍による接収を受け入れて、病院となり多くの兵隊が温泉に入って傷を治しました。「元湯陣屋」として生まれ変わったのは、戦後になってからです。
当館の「松風の間」は、明治天皇が宿泊をするために黒田藩が大磯に建てたものを、三井家が現在の場所に移築したという由緒のある建築物です。また、「松風の間」と一緒に「竹河の間」も移築されました。当時、池の中の椎の木のまわりは馬車まわりになっており、「竹河の間」は玄関に相当していた建物です。現在では大広間として改築されております。そして、椎の木は何度も落雷を受け幹が折れたにも関わらず、現在も元気に生きています。
また、宮崎駿の親族が女将を務めており、幼少期に宮崎駿がこの旅館で過ごした思い出が「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」の作品に影響を与えたということです。旅館内の庭園には「となりのトトロ」で描かれている楠の木のイメージになったとされる「トトロの木」もあります。
「松風の間」では、数々の将棋・囲碁の名勝負が行われ、かの「陣屋事件」の舞台としても知られます。